人事労務Q&A

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当社は、建築資材を製造している会社です。製造課の課長は、管理者としての能力に欠け、課内のまとまりがなく困っています。もともと技術能力が高く、部下もついていくだろうと課長にしたのですが、課内をまとめていこうという意識がないようです。今度の人事異動で役職をはずし、資格等級も5等級から降格させようと思っていますが問題はあるでしょうか。

単に役職等を降職したり、役職から外すということであれば人事権の行使として可能と思われます。また、役職手当の減額カットも管理者としての役割や責任が減るわけですから認められると思います。しかし、その課長が今までと同じ技術者としての業務を行っていくのであれば、資格等級からの降格は待った方がよいと思います。技術能力が高いということですが、5等級としての遂行能力はもっていないのでしょうか。本来資格等級はその人の職務遂行能力を格付けし、各等級にあてはめたものです。役職制とは違うものです。降格は基本的賃金も下がります。5等級の能力はとても無いというなら別ですが、専門職として5等級にとどめ、本人のやる気を保持させたうえで、得意分野で力を発揮してもらう方が、会社にとっても得策であると思います。
 なお、等級を降格させる場合は、就業規則等における職能資格制度の定めの中で降格の可能性が予定され、使用者にその権限が根拠付けられていることが必要との判例があります。つまり、就業規則等で降格の可能性があることを明記しなければ降格させられないことになります。就業規則では、あらゆる場合を想定してリスクを回避するように定めることが必要です。

先月当社では賞与の支給をしましたが、ある社員が支給後すぐに退職届を出し、退職してしまいました。おそらく支給前に退職することがわかってしまうと、賞与が減額されると思い支給されるのを待って届を出し、退職したものだと思います。会社としても、突然の退職で大変迷惑していますし、これが前例となって今後同じような行動をとる者が出ることも避けたいと思っています。そのためにも、今回退職した者から支給した賞与の一部だけでも返還させたいのですが可能でしょうか。

賃金は労働に応じて、法律で支給が義務づけられているものですが、賞与は労働契約や就業規則等で約束をした場合のみ支給義務が生じるものです。基本的に賞与については、賞与支給対象計算期間の労働への対価だけではなく、将来の貢献への期待給としての性格もあるとされています。従って、賞与の一定部分を期待給ととらえ、退職することがわかっている者に対しては、将来への貢献という点で、査定においてマイナス評価し、支給額を減額することは可能となってきます。しかし、今回のように支給直後の届け出、退職についも返還させるとなると何らかの根拠が必要とされています。就業規則で賞与の一定額を返還できる旨の定めがなければ、賞与を満額もらって支給後に退職することを会社が認めているとされてしまうのです。従って、定めがない以上本人との話し合いにより同意のうえ一定額を返還してもらう方法をとらざるを得ないと思います。今後は、賞与支給日に在籍していなければ支給はしない旨の規定とともに、支給直後の退職の場合についても、一定額を返還させる可能性がある旨を定めることが必要です。ただし、一定額は期待給部分に該当しますからあまり高額にならないようにすべきです。
 なお、賞与は前述のように約束をすれば支給義務が発生してしまいます。今後は、賞与自体が支給できない場合も想定した規定も就業規則に盛り込む必要もあると思います。

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